ライブ配信についての考え

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下払桐子X武蔵ホールがお届けする
ライブ配信についての考えを書いてみます

こんにちは。進藤組リーダーの進藤一茂です。

ここでは少し、配信について、そして、ご支援(投げ銭)について、僕が考えていることをお伝えしたいと思います。

とても大事なことを書きますが、面倒くさかったら読み飛ばしてください。
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あ、そして、ここに書いていることは、あくまでも僕個人の考えです。違う考えや活動について否定するものでは決してありません。その点、くれぐれも、くれぐれも。


ライブ配信について

これまで何回かライブ配信をやってみて分かったことがあります。

それは、配信は生のコンサートの代わりではない、ということです。コンサートを開催できないから仕方なくやるものではないのです。

配信には配信特有の音楽表現やコミュニケーションがあって、それは生のコンサートでは味わえないことなのです。

(ライブ配信は音降りそそぐ武蔵ホールのYouTubeチャンネルにてご覧いただけます)

ライブ配信の良いところ

ライブ配信と生のコンサートとの一番の違いは、何度も繰り返し視聴できることです。

そして、僕はこれが配信の一番良いところだとも思っています。

同じレコードを何度も何度も聴きます。なぜでしょう。音楽のレコードばかりではありません。漫才や落語、講演や対談、ラジオのエアチェックなど、人が喋っている録音物も、何度も同じものを聴いたりします。映画もそうですね。好きな映画を一生のうちに何十回も見るというのは、それほど驚く話でもありません。

映画のように作り込まれた芸術とライブ配信では、作品としての意味は違うかもしれませんが、体験という意味では同じです。

繰り返し触れることで、それまでには考えていなかったような視点が生まれたり、新しい発見によって感性の奥深いところが刺激されて、人生がより楽しくて深いものになるのです。

無料で配信

一番最初に配信を行ったときには、上に書いたようなことをこのようにハッキリと意識していたわけではありません。

だけど、「誰でもいつでも何回でも見ることができる」という基本の方針は、始めるときから決めていました。

なので、お金を支払った人だけが演奏を試聴できるというやり方は、最初から選択肢にありませんでした。

それは、新しい音楽表現を探ることと並行して、ものを届ける手続きとか、コミュニケーションのあり方みたいなことも試していきたかったからです。


そもそものそもそも

2020年は多くの人が閉塞感の中で暮らしてきました。行動が制限されているだけではなく、同時に、情報だけは過剰に入ってくるので、気持ちを解放するのが余計に難しくて、ふさいでしまいます。

そうした中で、下払さんと僕とで、なにかワクワクするものをやりたいという気持ちが合致しました。

下払さんは、自分が好きだと思う音楽を、思うまま演奏したい。僕は、配信という自分にとって新しい表現でできることを探っていきたい。

音楽家や制作者のワクワクする気持ちを、いつでも真ん中に据えた活動をしたいと思ったのです。何かを考えるときに立ち返る場所・基準にするものが、自分のワクワクする気持ちというわけです。

ライブでやることの意味

自分たちがワクワクすることを、そのままの気持ちで発信したい。

それには、できるだけ手軽に行うことがとても重要でした。さきほど映画を引き合いに出しましたが、映画のような作り方をするのは、今回のシリーズには不向きでした。

配信コンサートでも、収録した映像を流す場合も多くあります。でもそれだと、撮り直しや編集ができるので、きっとだんだんワクワクしなくなっちゃうんです。ええ、分かってるんです、自分たちのこと。

時間をかければ、時間をかけたなりのクオリティに仕上げられることは分かっています。でも、隙のないものを作ることよりも、荒削りでも不安定でも良いからワクワクする方向に進みたいのです。

うっわ、こんなになっちゃってるよ、でも面白いからOK!っていうマインドで生きていきたい。

そして、さらにもっと重要なのは、ワクワクの源です。

ワクワクの源は、現場での思いつきやひらめき、工夫や試行錯誤、もっと言うとトラブルへの対処の中にあるのです。(諸説あります)

配信を、収録ではなくライブ演奏のライブ配信で行うことは、このためにとても良い方法なのです。

続けていくこと

このシリーズのもうひとつ大事なことは、続けていくことです。

配信を続けて行った先に積み上げられるものは、これまでの僕たちの活動にはなかった種類のものだと思います。ちょっと小難しい言葉を使うと「資産」になると思うのです。

資産ができることで、また新しいなにかを生み出すことができます。さらに、別のコミュニケーションを考えることができます。気持ちの中から新しいものを生み出すワクワクとは違う種類のワクワクが、きっと見えてくるんだろうって思っています。

2021年3月の時点では、まだシリーズ4回目の準備をしているところです。この先が本当に楽しみなのです。

最後にお金のこと

手軽に行うためには、お金をかけないということもすごく大切です。

ワクワク配信とはいえ、ホールの使用料や出演料、機材費など、経費はかかります。でも、それらをできるだけ抑えることは、継続のモチベーションに大きく影響しています。

継続のカギは、精神的な負担を表現や工夫に集中させることです。お金を含むその他のことは、なるべく分散・拡散させるのが良いと思ってます。

これまでのところ、配信の経費は、100%ご支援によって成り立っています。

でも、配信に対してご支援くださった方のことを、僕たちは(少なくても僕は)「お客様」とは思っていません。何かを「売っている」とは考えていないんです。

受け取ってくれている人に、演奏を買ってもらっているわけでも技術を売っているわけでもなくて、感覚的には、楽しいもの、気持ちのいいもの(悪いもの笑)、嬉しいもの、美しいものをいっしょに作ってくれる人って思っています。

ものを届ける手続き、受け取るときの心持ち、コミュニケーションのあり方・・・そのようなことの「輪」をみんなで作っていくことで、価値のある音楽表現を実現できないだろうかと考えているのです。

おわりに

正直なことを言うと、これが本当にみんなの幸せになるのかどうかは、まだ分かりません。

だけど、新しい表現を模索していって、自分たちなりのもの、自分たちだからできるものを作りたいという気持ちが、いつもとてもとても強くあります。

僕たちが音楽を配信することで、ご支援くださる皆さんの中にもワクワクが生まれればいいなあと思っているのです。